宇宙と多様性

どうして私は宇宙が好きなんでしょうか。

 

天文部という部活に入ったからか、BUMP OF CHICKEN天体観測を聴いたからか、メガスターⅡの精巧なプラネタリウムを見たからか、雨のようなしし座流星群を浴びたからか、小さなころに宇宙の図鑑を読んだからか・・・

 

思えば宇宙を好きになるきっかけはたくさんあったかもしれません。

 

私は宇宙が好きだということに気づいたのは成人する少し前です。

 

学校帰りだったか、部活をしているときだったか、星が見えたので「あれはカペラだねーあっちはアルデバランだねー」と話しているときに「本当に星が好きなんだね」と言われました。

 

このときにやっと「そうか、そういえばオレは星が好きなのか」と気づいたのです。

 

何かが好きだと、誰かが好きだという感覚は、大抵遅れてやってきます。ヒーローのようなものなのかもしれませんし、いつも夜更かししているのかもしれませんし、ヒーローが夜更かしなのかもしれませんね。

 

 

 

先日、佐藤勝彦先生の『眠れなくなる宇宙のはなし』を今更ながら読み終えました。

 

「本には先人たちが時間をかけて考え抜いた知恵が多く詰め込まれているので、それを考えるとどの本も安い」という話がありますが、この本はまさにその一冊です。

 

具体的な内容には触れませんが(触れたとしても無学な私がすべてを語ることはできません)、従来の宇宙観はどのようなものだったか、どのようにして人類は宇宙と向きあってきたかがよくわかりました。

 

専門的な用語に関しても、図解を踏まえながら簡潔にわかりやすく説明されているので私のようなにわか天文野郎にも読みやすかったです。

 

天文学を専攻している方々だけでなく、なんとなく宇宙が好きだったりする方やスケールの大きいことについて考えたい方、はたまた自分とはどういう存在なのかと考えるのが好きな方にもぴったりな本でしょう。

 

 

 

この本を読んだからか、それとはまったく関係のないことかはわかりませんが、改めて宇宙には色々あるものだと実感します。

 

例えば宮沢賢治の宇宙では天の川の岸で水晶の砂を拾うことができますし、ジョージ・ルーカスの宇宙では爆発や銃声などの音がします。

 

どちらも本物の宇宙とは違うみたいですが、だからといってダメだというわけではないですよね。銀河鉄道の夜は宇宙空間を鉄道で旅するからこそ夢のような一夜を体験することができるものだと思いますし、スター・ウォーズは宇宙空間であの音がするからこそ緊張感と迫力があると思っています。

 

他にも色んな宇宙がありますが、どの宇宙にも面白いものや熱いもの、美しいものなどが広がっていると思います。

 

このことから、宇宙も人と同じように個性があって、そこから多様性が生まれているんだなということを感じました。

 

 

 

その宇宙の多様性とは似たようで異なる話ですが、「宇宙の外はどうなっているのか」という話があります。

 

本書にも、超ひも理論とブレーン宇宙論の話なんかが出てきたりしました。その他にも、私たちがすんでいる宇宙とはまた別の宇宙が存在するのではないかという多元宇宙論の話も最近耳にしたりしました。

 

この宇宙論の話、なんというか、「山が天を支えている」という話や「ヘビの上に乗ったカメの上に乗った3匹のゾウの上に乗った半球状の大地の真ん中にある山の頂点に宇宙があり、太陽や月が回っている」という話などの、古代の人々が考えていた宇宙観の話に似ていると思いませんか?

 

私はこの宇宙論の話を読んで、世界にはまだまだ未知の領域があることを実感しました。

 

うんと昔なら、自分が住んでいる村の外に何があるかわからなかったでしょう。

 

国の外には何があるか、大陸の外には何があるか、海の外には何があるか、地球の外には何があるか・・・

 

こうした歩みを経て、ついに宇宙の外はどうなっているのかという現在にまでたどり着いたと考えると、線路の上を歩いて壮大な旅をしているかのような気分になれます。

 

そのうち宇宙の外の外について学問する時代も来るのかもしれませんね。

 

 

 

さてさて、私の話から宇宙の話へ、宇宙の話から多様性の話へ、多様性の話から宇宙の外の話へと旅立ったこの記事ですが、宇宙の外の話から私の話に帰宅してもらいましょう。

 

私たち人間には、真理にたどり着きたい知的好奇心があるのと同時に、正論だけではうまくいかない側面も持っています。

 

だからこそ、間違っているからダメというわけでもなく、間違うことがダメというわけでもなく、間違っていても面白い、美しい、楽しいということがあるのだと思います。

 

本書にはたくさんの間違っている(かもしれない)話もありましたが、斬新で予想もできないような考え方や、思わず共感してしまうような考え方があって、とても面白い話でした。

 

なので、間違ってもいいし、正しくてもいいということにしましょう。

 

 

 

というわけで、女神だったのにいつのまにか美少年に変えられてしまったガニメーデスくんを女体化することができるこの宇宙は素晴らしいという記事でした。

 

 

眠れなくなる宇宙のはなし (宝島SUGOI文庫)

眠れなくなる宇宙のはなし (宝島SUGOI文庫)